家具の地震対策

平成7年1月17日、午前5時46分に兵庫県南部を襲った阪神・淡路大震災は、6,500人近い死者・行方不明者を出す大災害となりました。
被災者の死因を分析すると、約9割に当たる約5,000人が倒壊した家屋で亡くなられたとされています。
さらにそのうちの1割以上が転倒した家具による圧死といわれ、また、負傷者の中にも転倒、散乱した家具により 逃げ遅れたり、負傷したケースも多く見受けられました。

倒壊した家屋は、その大部分が古い木造家屋であり、その教訓により被災地では今日、耐震性の高い建物が建てられるようになっています。
また、全国的にも建物の耐震、免震への関心が高まり、様々な工法により地震に対する対策が採られています。
しかしながら、家屋内の家具等については、まだまだ十分な対策が採られているとは言い難い状況にあります。
多くの家屋では、家具が「置いてあるだけ」という状態であり、中には不安定な箇所への設置や、出入口をふさぐような位置に 配置されているものも見受けられます。

ここでは、過去の被災事例を参考に各種団体で推奨している対策を挙げてみたいと思います。

1.重量のある家具の寝室への設置を避ける

重量のあるタンスやテレビを寝室に設置している場合、就寝中の人に勢いよく転倒、落下してくる恐れがあります。
それのみで死傷する危険性が高いだけでなく、避難の妨げになる恐れがあります。
なるべく寝室への設置を避けるか、止むを得ない場合には確実に固定する、就寝位置から十分に離す等の工夫が必要です。

2.避難路のそばに大型家具を設置しない

タンスや冷蔵庫などの大型家具を避難路のそばに設置すると、家具の転倒などにより避難路が塞がれてしまいます。
また、冷蔵庫には車輪が付いている場合が多く、強い揺れで容易に移動してしまいます。
確実な固定が前提となりますが、多少位置が動いても避難路に干渉しない配置が重要です。

3.高い位置に重量のある物を置かない

テレビや電子レンジ等は床面に直接設置するようなことはせず、台の上など高い位置に設置することが多いと思われます。また、最近の薄型テレビでは壁に直接設置することもあります。
しかしながら、落下した場合、その重量による危険性のみならず、破損した部品による危険にも見舞われます。 特にガラスを含む場合には、その危険性が高くなります。
可能な限り低い位置を検討する、ただ置くだけではなく台と固定する、また台も床面や壁面に固定する必要があります。

4.不安定な箇所へ設置しない

畳やじゅうたんは性質上柔らかい素材で作られているため、比較的小さな揺れでも転倒の危険性が高くなります。
また、段差や傾きがある箇所に設置すると、さらにその危険度は上がります。
なるべく固い安定した箇所へ設置する、背の高い家具は壁面寄りに設置する(壁面に傾ける)、重量のあるものは下の方へ収納し重心を低くする等対処が必要です。

5.窓ガラスの近くは避ける

転倒、移動した家具が窓ガラスに干渉すると、容易に窓ガラスは割れてしまいます。
室内ではガラスの破片は大きな脅威になるとともに、高層階の場合、屋外にいる人の頭上へ破片が降り注ぐことになります。 家具自身が屋外へ落下する可能性もあります。
窓の近くを避けるだけでなく、ガラスの飛散防止フィルムを貼る、網入りガラスなど飛散しにくいガラスを採用する等も効果的です。

6.階段付近は厳禁

2階建以上の建物の場合、階段がふさがれてしまうと避難が非常に困難となってしまいます。 また、たとえ小さな物であっても、階段の途中に障害物があると逃げ遅れや負傷の原因となります。
階段付近へ家具を設置しないことはもちろんのこと、日頃から物を置くようなことのないよう注意が必要です。

以上は、一般的な家庭で想定しうる対策ですが、何よりも確実な固定が大前提となります。
実験では、人の力では容易に動かないような重量のタンスであっても、強い地震の揺れでは室内を暴れ回ります。
L字金具やボルト、ワイヤーなどを利用した固定方法もありますが、最近では、突っ張り棒や振動吸収ゴムなどで 手軽に対策ができる防災用品も数多く見られるようになりました。

上記のような対策はあくまで一般事例ですので、それぞれの家庭で必要となる対策は変わってくることと思います。
また、設置以外の面でも、開き戸の食器棚にはストッパーを取り付けて食器など収納物の飛散を防ぐなど、対策の方法は様々です。

「もし、この家具が転倒、落下、移動したらどうなるか?」

今一度、家庭内を再確認すると、新たな改善点を発見することができるかもしれません。